本文化は有史以来、中国文化圏に属し輸入文化・翻訳文化の側面を持ち、積極的に外国の文化を摂取し、これを在来の文化と融合して日本化することで独自の文化を形成してきた。平安期と江戸期に日本は外国との交流を絶ったが、この時期に日本独自の文化が顕著に熟成されたという特徴がある。
 遣唐使が盛んだった飛鳥~平安時代、貴族は中国文化を模範とした天平文化を築き、留学生が学んできた先進文化が政策上の規範だった。遣唐使が中止された後は「国風文化」が興ったが、この時期までの文化の中心は貴族と寺院であった。平安末期の平氏政権期から鎌倉時代にかけて日宋貿易が行われ、新しい仏教とともに精進料理や文人画などの中国文化が流れ込んだ。鎌倉時代には関東を中心にした武士の文化が京都の王朝文化と並び立つものとして勃興する。
 室町時代には日明貿易によって引き続き中国文化が持ち込まれ、この時期に輸入された織物や陶器、書画などは、現代に残る伝統工芸品の技術に流れ込んでいる。室町時代から安土桃山時代には、戦国大名により各地に地方色豊かな文化が生まれた。
 江戸時代、鎖国の世にも長崎を通じて諸外国との交流は続いたが、日本の独自性への自覚から伝統への回帰として国学などの学問も興った。また、江戸時代は江戸・京都・大坂の3大都市を中心に町人の文化が栄えた時期である。
 その後、近代日本の文化は、明治維新と連合国占領時代の2度、大転換期を迎えた。われわれ現在の日本人がイメージする伝統的文化にも明治以降に生まれたものや俗に言う外国文化であるものも多い。
 近年では日本文化と言えば、ゲーム、JPOP、ファッション、アニメ、日本の漫画、カラオケ、パーソナル・コンピュータやMade in Japanなどのポップカルチャーが海外で注目され、今までとは違った「日本」のイメージを持つ者も増えてきている。ここでは日本文化の変遷と、伝統的な日本文化の中から、食・暮らしの中の行事について取り上げて紹介する。